相会あいかい)” の例文
旧字:相會
正義の巨人と、邪悪の怪人とは、ここに三たび相会あいかいした。四つの目が、焔をはいて睨み合った。室内に、名状し難き殺気がみなぎり渡った。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
車の通ずるところまでは、う自動車が来て待つて居て、やがて、相会あいかいすると、ある時間までは附添つきそつて差支さしつかへない女弟子の口から、真先まっさきに予言者の不思議がれた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
諸君にも必ず何か楽しむ所、志す所のものあるべし。折々は相会あいかいして之を語り之を論ずるこそ面白けれ。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「君らは自分以上な者を敬うことを知らないのか。思うに、天罡星てんこうせい相会あいかいする重大な機運が来ているものと思う。諸君の望むわたくしの成敗などはゆるされない」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其処で村の人達は相会あいかいして、これには何か不思議な仔細があるのであろうと議結ぎけつをして小祠やしろを大きな合歓の木の下に建立こんりつして、どうかこの村に何事のたたりもないように
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すなわち個々の生産期の境目さかいめに際し、生死二つの世界の霊魂の、系統を同じくするものが相会あいかいして、歌舞饗宴の悦楽を共にしようとしたことは、数多くの民族を通じて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
両巨人、互に綿々たる深讎しんしゅうを含むといえども、何等か一脈の相通ずるものがあって、表面上は、旧知の相会あいかいせるが如く、さも親しげに話し合っている。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
向島を見る私は安政年、江戸に出て来て、ただ酒が好きだから所謂いわゆる口腹こうふくの奴隷で、家にない時は飲みに行かなければならぬ、朋友相会あいかいすれば飲みに行くとうような事は、ソリャて居るけれども
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)