白酒しろざけ)” の例文
海にむかった室で昼間の一酔いっすいに八十翁もよばれてほろよいになると、とてもよい声で、哥沢うたざわの「白酒しろざけ」を、素人しろうとにはめずらしいうたいぶりをした。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さうして二十ねんむかし父母ふぼが、んだいもとためかざつた、あか雛段ひなだん五人囃ごにんばやしと、模樣もやううつくしい干菓子ひぐわしと、それからあまやうから白酒しろざけおもした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
白酒しろざけ入れたは、ぎやまんに、柳さくらの透模様すきもよう。さて、おさかなには何よけん、あわび、さだえか、かせよけん、と栄螺さざえはまぐりが唄になり、皿の縁に浮いて出る。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしが家出をしましたのは矢張八月朔日ついたち、其の年の三月のお節句に、お客様の帰った跡で、御新造様のお酌でお白酒しろざけを頂戴した事などを、かめとお噂をして居りました、家出をしたのも
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嬉遊笑覧きゆうしょうらん六上に相州厚木辺で、古雛を川に流すとて棧俵さんだわらなどに載せ、児女ちご白酒しろざけの銚子を携えて河原に出で、別れを惜しみて一同に悲しみ泣くとあるが、これを他のいろいろの実例と合わせ考えると
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
去年は 白酒しろざけ
朝おき雀 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
もっとも焼酎しょうちゅうとベルモット、ビールと白酒しろざけでは同じ経験とも申されませんが、同種、同類、同価の酒を店で吐いて、家で飲んだとすれば、吐くと飲むとの相違があるだけで
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)