疎隔そかく)” の例文
こは大いに理由ある事にて、彼は全く変心せしなり、彼はしょうの帰国中妾の親友たりし泉富子いずみとみこと情を通じ、妾を疎隔そかくせんとはかりしなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
疎隔そかくの生活を続けていたのにかかわらず、今に至るまでなお言語信仰のくさぐさの古風に、争われぬ一致を遺している西南諸島人の間に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼が私と感情的に疎隔そかくするやうになつたのは、「新思潮」へ寄せた彼の短篇を皆で排斥したことが始まりであつた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夫婦のあひだに、代助と云ふ第三者が点ぜられたがために、此疎隔そかくが起つたとすれば、代助は此方面に向つて、もつと注意深く働らいたかも知れなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
諸王は合同の勢あり、帝は孤立の状あり。嗚呼ああ、諸王も疑い、帝も疑う、相疑うや何ぞ睽離かいりせざらん。帝も戒め、諸王も戒む、相戒むるや何ぞ疎隔そかくせざらん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼は従来の疎隔そかくを謝し、自愛を勧め、握手して別れた。これが最始さいしの接近で、また最後の面会であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
二人の間に妙な疎隔そかくを生じたことなども、この誤解の原因であったに相違ありません。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それは、これまで感情の疎隔そかくしていた父と杉野子爵ししゃくとの間が、到頭最後の破裂に達したことである。あんな事件が起った以上、再び元通りになることは、ほとんど絶望のように思われた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そしてそれもまた、父と私とを疎隔そかくせしむる理由の一つとなったのである。
今日我々のうち誰でもまず心をしずめて、かの強権と我々自身との関係を考えてみるならば、かならずそこに予想外に大きい疎隔そかく(不和ではない)の横たわっていることを発見して驚くに違いない。
一週間ばかりお互に疎隔そかくの努力をしたように覚えている。
ある温泉の由来 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
このところ少しおもしろくない感情に疎隔そかくされている。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君臣の間は急速度に疎隔そかくして行つたといふのです。
夫婦の間に、代助と云う第三者が点ぜられたがために、この疎隔そかくが起ったとすれば、代助はこの方面に向って、もっと注意深く働らいたかも知れなかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)