生活ライフ)” の例文
我我もまた君等と同じく、絶望のすり切れた靴をはいて、生活ライフの港港を漂泊してゐる。永遠に、永遠に、我我の家なき魂は凍えてゐるのだ。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
都会の夏を避けて溪流の音を聞きながら全く自然に親んで、簡単な「必要ネセサリ生活ライフ」をおくるということは考えただけでも愉快ではありませんか。
爾来じらい数年の間自分は孤独、畏懼いく、苦悩、悲哀のかずかずを尽くした、自分は決して幸福な人ではなかった、自分の生活ライフは決して平坦へいたんではなかった。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
其の頃の觀察や解剖は今から考へると生活ライフのスタヂイではなくて、長閑のどか日永ひながのアミユウズメントだと云つてもよい。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
そのうちとし段々だん/\片寄かたよつて、よる世界せかい三分さんぶんりやうするやうつまつてた。かぜ毎日まいにちいた。其音そのおといてゐるだけでも、生活ライフ陰氣いんきひゞきあたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我我もまた君等と同じく、絶望のすり切れた靴をはいて、生活ライフの港港を漂泊してゐる。永遠に、永遠に、我我の家なき魂は凍えてゐるのだ。
田舎の時計他十二篇 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
そのうち年がだんだん片寄って、夜が世界の三分の二をりょうするように押しつまって来た。風が毎日吹いた。その音を聞いているだけでも生活ライフに陰気な響を与えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
実に人間のあらゆる生活ライフは、ひとしく常に考え、ひとしく悩み、ひとしく感じ経験している。しかも大多数は表現し得ず、芸術家のみが為し得るのは何故か。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)