“現場不在証明（アリバイ）” の例文
二人の現場不在証明（アリバイ）は関連したもので、一方が死ねば、そのアリバイは成立しなくなることまで三次も気が付かなかったのでしょう。
銭形平次捕物控：067 欄干の死骸 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
小野が殺されたのは十一時頃だから、葛飾の答弁は現場不在証明（アリバイ）を申し立てているのである。刑事は反証を上げなければならない。
遺書に就て (新字新仮名) ／ 渡辺温(著)
双生児（ふたご）の現場不在証明（アリバイ）は極めて不完全なものであったし、何よりも悪いことには、訊問が被害者の戸川そめ子の問題に触れる度に
石塀幽霊 (新字新仮名) ／ 大阪圭吉(著)
この勝見の現場不在証明（アリバイ）は、この証明書から最早絶対に疑うことが出来ない。しかも綾子夫人は七月三十日にあのような死に方をしている。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
君は昨夜Ｎ市へ行っていたのだね。ハッキリした現場不在証明（アリバイ）だ。で、Ｎ市では誰かを訪問したのでしょうね。別に君を
鬼 (新字新仮名) ／ 江戸川乱歩(著)
こうしたＷの神経質は、小使や友人は勿論の事、新聞記者仲間でも評判になっている位だから、これも現場不在証明（アリバイ）の製造には最も便利な習慣だ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／ 夢野久作(著)
日用品を買いにちょっと外出したと見せかけたジェイムスの現場不在証明（アリバイ）、浴槽における花嫁の溺（でき）死、アレキサンダア・ライス医師の簡単な死亡証明書、涙の葬（とむら）い等
浴槽の花嫁 (新字新仮名) ／ 牧逸馬(著)
現場不在証明（アリバイ）……そんなことは出来ませんでした、何でも蕗子が殺された時間には、私はまだ空家になった私の家でただ一人、行李（こうり）に凭（もた）れかかって黙想に耽っていたのでしたから。
流転 (新字新仮名) ／ 山下利三郎(著)
越前屋の金次にも、浪人の岩根源左衛門にも、完全な現場不在証明（アリバイ）がないにしても、大した怪しい節もなく、お辰もこの場合も疑いの外に置かれます。
銭形平次捕物控：149 遺言状 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「マクレオは午後二時から午後九時半までずっと病院にいたことが分った。あの外人の現場不在証明（アリバイ）は完全だ」
人造人間事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
又若い番頭は、店の表二階で焼芋を買って、十時過まで猥談をやっていたので、尚更、何も聞かんという訳でね。みんな今でいう現場不在証明（アリバイ）をチャンと持っている。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) ／ 夢野久作(著)
彼等は三人とも各々バラバラで随分勝手気儘な行動をしていたらしく、殊（こと）に上杉などは完全な現場不在証明（アリバイ）もない様な次第ですから、当局にしても一応の処置は取ってあります。
花束の虫 (新字新仮名) ／ 大阪圭吉(著)
鶏卵を買いに出たという現場不在証明（アリバイ）と、この愁嘆場（しゅうたんば）によって、ブラドンはたくみにクロスレイ夫人はじめ下宿の人々を瞞着（だま）して、底を割ることなく、この芝居を打ちとおしたのだ。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) ／ 牧逸馬(著)
一方では私は兄としての私の現場不在証明（アリバイ）を拵えて置きます。そして、殺人を犯します。現場に少しも証拠を残さぬ様に注意するのは勿論です。これ丈けで或は十分かも知れません。
双生児：――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話―― (新字新仮名) ／ 江戸川乱歩(著)
その間に平次は、遠藤左馬太と、茂吉と三次の現場不在証明（アリバイ）を打ち壊し得る、いろいろの場合を調べ上げました。
銭形平次捕物控：067 欄干の死骸 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
犯行時間に確実なる現場不在証明（アリバイ）をなし得る人間は九十名近い人達の中で二十名とあるまい
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
つまり二人とも現場不在証明（アリバイ）を胡魔化（ごまか）すには持って来いの処に居た訳だ。……それかあらぬかその晩の九時頃に一台の新しい箱自動車（セダン）が、曇り空の暗黒を東に衝（つ）いて福岡を出た。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／ 夢野久作(著)
現場不在証明（アリバイ）
猟奇の果 (新字新仮名) ／ 江戸川乱歩(著)
それに、糸子の殺された推定時間——十二時前後——には足の勇と銀座あたりを梯子（はしご）で飲み廻って居たのですから、立派な現場不在証明（アリバイ）を持って居るわけです。
踊る美人像 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「そうか、こいつは又、素晴らしい現場不在証明（アリバイ）だ。ねえ帆村君、あのピストルが屋根裏でズドンと鳴った頃には、一平の奴上野署の豚箱のなかで、虱に噛まれていたらしいよ」
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
この恐るべき精神科学の実験が行われた暁でも、却（かえ）って世間から疑われない、一種の『精神的現場不在証明（アリバイ）』になるばかりでなく、事件が発生した時に透（すか）さず飛び込んで行ける口実が出来るという
ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／ 夢野久作(著)
現場不在証明（アリバイ）は、お栄と重吉と念入りに口を合せ、婆やは早く寝かして胡麻化しましたが、それより先に、お咲を殺した翌る日、犯罪者に共通の誘惑に打ち負けて
銭形平次捕物控：061 雪の足跡 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
だが、何にせよ、その樫田武平の身柄を捜査してみなければ、或は現場不在証明（アリバイ）などの懸念（けねん）もあるので、色めき立った刑事連は、赤羽主任の命を待つものの様にその面を仰（あお）いだ。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
あの晩、誰も主人殺しでないという確かな証拠を持っていないのに、たった一人だけ、子刻（ここのつ）から卯刻（むつ）まで他所（よそ）に居たという確かな証拠（現場不在証明（アリバイ））を持った人間が居る。
銭形平次捕物控：061 雪の足跡 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「いやそれはつまり、今ホテルに蠅男が入っていることを知られたくはなかったんです。あくまで自分は井上一夫で、蠅男ではないという現場不在証明（アリバイ）を作って置きたかったんです」
蠅男 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
陥れる為にあんなに沢山（たくさん）証拠を揃えないよ。亜砒酸なんて馬鹿な毒薬を使ったり、自分の短刀で人を刺して、それを現場へ残して来たり、簡単な現場不在証明（アリバイ）も作らなかったり
悪魔の顔 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「他人の話なんか、お前に聞かされないでもいいんだ。それよりお前の現場不在証明（アリバイ）を聞こうじゃないか。博士の殺害された今夜の八時前後、お前は一体何処にいたんだ。それを云え」
人造人間事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
春松をつれて来て一と晩自分の代りに尺八を吹かせ、それを現場不在証明（アリバイ）に、宵から、溝口屋の奥に潜んだ馬吉は、臆病者の一生懸命さで、どうやらこうやら目的を遂げました。
銭形平次捕物控：136 鐘五郎の死 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
不幸にもあの時刻に於ける奥様の現場不在証明（アリバイ）は不可能でいらっしゃいましょう
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
これほど立派な現場不在証明（アリバイ）はあるでしょうか。平次も深々と首をうな垂れて
銭形平次捕物控：050 碁敵 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「——サンタマリア病院のジョン・マクレオだ。現場不在証明（アリバイ）を調べること」
人造人間事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
三人が三人とも、結構すぎるほどの現場不在証明（アリバイ）を持っているのです。
銭形平次捕物控：067 欄干の死骸 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
「重宝な現場不在証明（アリバイ）ができたものだな」と課長は、薄笑いをした。
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)
完全無欠な現場不在証明（アリバイ）を持っていることが判りました。
銭形平次捕物控：127 弥惣の死 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
巧（たく）みに現場不在証明（アリバイ）を拵（こしら）えあげたと判ったのです。
銭形平次捕物控：133 井戸の茶碗 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)