狐憑きつねつ)” の例文
第三種(憑付ひょうふ編)狐憑きつねつき、人狐にんこ式神しきがみ狐遣きつねづかい、飯綱いづな、オサキ、犬神、狸憑たぬきつき、蛇持ち、人憑ひとつき、神憑かみがかり、魔憑まつき、天狗憑てんぐつ
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
尻餅しりもちついて驚くところを、狐憑きつねつきめ忌々いまいましい、と駄力だぢからばかりは近江おうみのおかね、顔は子供の福笑戯ふくわらいに眼をつけゆがめた多福面おかめのごとき房州出らしき下婢おさんの憤怒
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
狐憑きつねつきのやうに髮を蓬々ぼう/\と亂した故郷の妻の血走つた怨みがましい顏や、頭部の腫物を切開してY町の病院のベッドの上に横たはつてゐる幼い子供の顏や
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
長屋の連中が蜻蛉の辰の軒下に立って呼吸をらしていると、なかでは長いこと話が続いたのち、やがて、三次ひとり狐憑きつねつきのような顔をしてぼんやり出て来た。
伊助は朝寒あさざむとは別に身を顫はせました。狐憑きつねつきから落ちた狐のやうな顏が、妙に惡賢こさを思はせます。
「……『狐憑きつねつき、落つればもとの無筆むひつなり』……という川柳を知っているかね君は……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大助はとうとい事を発明した。それは狐憑きつねつきを呼んで来て、神下かみおろしをかけて、一々名前を訊き出すといふ事だ。大助は狐憑きの言ふが儘に、ちやんと十九人の名前を書きとめたものだ。
これに反して、奇夢、神感、狐憑きつねつき、予言のごときは、心理的妖怪なり。もし、物理的妖怪の種類についてこれを分かてば、左の数種となるべし。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「大丈夫か、八。この間も大久保まで一日がかりで行って、狐憑きつねつきに馬鹿にされて帰ったじゃないか」
「またいつもの伝で担ぐんじゃねえか。この間のように落ちへ行って狐憑きつねつきの婆あが飛んで出るんじゃあ、こちとら引っ込みがつかねえからなあ、はっはっは。ま、お預けとしとこうぜ。」
心理学部門 幻覚、妄想、夢、奇夢、狐憑きつねつき、犬神、天狗てんぐ、動物電気、コックリ、催眠術、察心術、降神術、巫覡ふげきの類
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
伊助は朝寒とは別に身をふるわせました。狐憑きつねつきから落ちた狐のような顔が、妙に悪賢さを思わせます。
狐憑きつねつきのようにはいってきたおさよ婆さんを見ると、源十郎、われにもなくカッとなって、いいわけのことばも聞かばこそ、おのれッ! とわめきざま、やにわにおさよを板の間へ押しつけて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
けだし、わが国の狐憑きつねつき、神憑かみがかり、魔憑き、その他たたりのごときはみな、以上述ぶる説によりて解釈しきたれり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「大丈夫か、八。此間も大久保まで一日がかりで行つて、狐憑きつねつきに馬鹿にされて歸つたぢやないか」
癲狂てんきょう狐憑きつねつき等は同一理によりて説明し、一我ここにありて他我ほかに出ずるときは、他人の我その不在をうかがいてわが体中に入り、また両我ともに一身中にあるも
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
思うに、犬神は一種の精神病にして、狐憑きつねつき、たぬき憑き等とさらに異なるところなきがごとし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
例えば狐惑こわく狐憑きつねつきのごとき、幽霊のごとき、みな心より呼び起こすところの妖怪である。されば、心は妖怪の母と申してよろしい。そのうえに、妖怪を見て妖怪と知るはみな心の作用に相違ない。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
第二、狐惑こわく狐憑きつねつきのこと。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)