無人むじん)” の例文
けれど、どうしたのか、オウ! といってものを引っかつぐ部下ぶかもなく、かんじんな櫓番やぐらばんのいるところさえ、無人むじんのようにシーンとしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無人むじんきょうだった。ただどの店も、いつものように明かるい照明の下に美しく品物をかざっていた。ふしぎな光景だった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
いつも大洋のまん中でかげ一つ見えないとき、わたしはやはりこの無人むじんの土地で感じたとおりの言いようもない悲しみを、また経験けいけんしたことがあった。
いまだに、このはなしは、きたみなとのこっています。無人むじん小島こじまは、いまも、青黒あおぐろなみあいだあたまをあらわしています。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
半蔵は無人むじんの境を行くがごとく、部屋から部屋をあさって行きました。
声をのんでひッそりとしずまりかえったじょうの内外は、無人むじんのごとくどよみをしずめて、いきづまるような空気をつくっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしよく考えてみると、この広々としたやけあとは無人むじんきょうとしてほってあるので、さっきから長い間、二人のほかに一人の人影もみなかったほどである。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、西国さいごく猛者もさどもをおさえるにはちと遠いぞ。——お、これが富士ふじ神州しんしゅうのまン中にくらいしているが、裾野すそのたいから、甲信越こうしんえつさかいにかけて、無人むじんの平野、山地の広さはどうだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく無人むじんであるべき家の煙突から、モクモクと煙が上るというのはどう考えても合点がゆかないことだ。どうしても、中に誰か居て、ストーブに火を点けたのでなければ話が合わない。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
無人むじんつじ
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)