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溜涙
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ためなみだ
ふりがな文庫
“
溜涙
(
ためなみだ
)” の例文
お政が坐舗を出るや
否
(
いな
)
や、文三は今までの
溜涙
(
ためなみだ
)
を一時にはらはらと落した。ただそのまま、さしうつむいたままで、
良
(
やや
)
久
(
しば
)
らくの間、起ちも上がらず、身動きもせず、黙念として坐ッていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然
(
しか
)
るに女房お政は
夫
(
をつと
)
文右衞門が
問
(
とは
)
ず語りを
側
(
そば
)
にて
熟々
(
つく/″\
)
聞居たりしが
堪
(
こら
)
へ/\し
溜涙
(
ためなみだ
)
夜半の
時雨
(
しぐれ
)
と諸共にワツとばかりに泣出せしかば文右衞門は是を
見返
(
みかへ
)
りコリヤお政何が其樣に
悲
(
かな
)
しくて
泣
(
なき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
意気地
(
いきじ
)
と張りを命にして、張詰めた
溜涙
(
ためなみだ
)
をぼろぼろこぼすのと違って、細い、きれの長い、情のある
眦
(
まなじり
)
をうるませ、
几帳
(
きちょう
)
のかげにしとしとと、春雨の降るように泣きぬれ、
打
(
うち
)
かこちた姿である。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見送
(
みおく
)
る
私
(
わたくし
)
の
眼
(
め
)
からはこらへこらへた
溜涙
(
ためなみだ
)
が一
度
(
ど
)
に
滝
(
たき
)
のように
流
(
なが
)
れました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
言ひ終るや、
堰止
(
せきと
)
めかねし
溜涙
(
ためなみだ
)
、はら/\と流しぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
溜
漢検準1級
部首:⽔
13画
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“溜”で始まる語句
溜
溜息
溜飲
溜池
溜飮
溜塗
溜間
溜込
溜場
溜漉