湯呑ゆの)” の例文
ある日の朝、母親のルピック夫人が、いつものように、彼の湯呑ゆのみに葡萄酒をごうとすると、彼はこういった——
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
それから飲料いんりょうとしてはさくら花漬はなづけ、それを湯呑ゆのみにれて白湯さゆをさしてきゃくなどにすすめました。
小杯ちいさくッて面倒くさいね」とそばにあッた湯呑ゆのみと取り替え、「満々なみなみ注いでおくれよ」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
うしても私共わたしどもにのらぬやんちやなれば貴君あなたからしかつてくだされ、だい湯呑ゆのみでむはどくでござりましよと告口つげぐちするに、結城ゆふき眞面目まじめになりておりきさけだけはすこしひかへろとの嚴命げんめい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
魔法瓶の湯を急須きゅうすいでから文吉たちの湯呑ゆのみをとり出していると
日めくり (新字新仮名) / 壺井栄(著)
脱いだものは脱ぎッ放し、喰べた物は喰べッ放しと云う有様で、喰い荒した皿小鉢だの、飲みかけの茶碗ちゃわん湯呑ゆのみだの、あかじみた肌着や湯文字ゆもじだのが、いつ行って見てもそこらに放り出してある。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
湯呑ゆのみと手鏡を持って、舞台裏まで附いてゆく静枝にいいつけた。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)