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海龜
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うみがめ
『
其の
先生が
私どもに
教へたから、
其の
先生を
龜ノ子先生ッて
呼んだのさ』と
海龜は
腹立しげに
云つて、『
眞個にお
前は
鈍物だね!』
『
話しませう』と
云つて
海龜は
太い
銅鑼聲で、『お
坐りな、
二人とも、それで
私が
話し
終るまで、
一言でも
饒舌つてはならない』
『
私は一
度も
其の
先生の
所へ
行きませんでした』と
云つて
海龜は
長太息し、『その
先生は
笑ふことゝ
悲しむことゝを
教へてゐたさうです』