浄衣じょうえ)” の例文
旧字:淨衣
彼はわざとねたのであろう、きょうの華やかな宴の莚に浄衣じょうえめいた白の直衣のうしを着て、同じく白い奴袴ぬばかまをはいていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
県役署の私宅にもどると、白い浄衣じょうえに着かえ、麻の縄帯を締め、その内懐うちぶところへは鋭利な短剣一振りをかくしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白の浄衣じょうえはかま穿き、髪をみずらに取り上げている! 巫女みこさながらの姿である!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
頼朝は新しい烏帽子えぼし浄衣じょうえをつけ身をきよめると、院宣を三度拝してから封を開いた。
彼の意気たるやさかんであった。その朝は、星の下に、水垢離みずごりをとり、白木綿しろもめん浄衣じょうえを着て、黄布きぎぬのつつみを背中へはすにかけて結んだ。内に宸筆しんぴつの勅願をおさめたのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又その四隅には白木の三宝さんぼうを据えて、三宝の上にはもろもろの玉串たまぐしが供えられてあった。壇にのぼる者は五人で、白、黒、青、黄、赤の五色ごしきかたどった浄衣じょうえを着けていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うなじは、俯向うつむき、到底、列座の公卿たちを正視することなどできないものであるのに、範宴少僧都は、じるいろもなく、きぬたの打目のぴんと張った浄衣じょうえ鶴翼かくよくのようにきちんと身に着け、ひとみ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らはやはり五色ごしきかたどった浄衣じょうえをつけていた。泰親の姿は白かった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)