流行はやつ)” の例文
きいろい本の表紙には、“Trueツルー Loveラヴ”と書かれた。文科の学生などの間に流行はやつてゐる密輸入のアメリカ版の怪しいほんだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
夫故それゆゑ箱書はこがき黙阿弥翁もくあみをうしたゝめてもらひましたが、此文中このぶんちうにもあるとほり十有余年いうよねん昔話むかしばなし流行はやつたことと見えまする。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
左様さうでしやうか」と云ふ返事をしたが、すぐ真面目まじめな調子で、「ほたるてえものは、むかし大分だいぶ流行はやつたもんだが、近来はあまり文士がたさわがない様になりましたな。う云ふもんでせう。 ...
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ずツと昔時むかししば金杉橋かなすぎばしきは黄金餅こがねもち餅屋もちや出来できまして、一時ひとしきり大層たいそう流行はやつたものださうでござります。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)