洋杯こつぷ)” の例文
また電気灯をともすと、白つぽくなつた壁際かべぎはの二段の吊棚が目の前へ現はれて来るのです。私は洋杯こつぷの中にはひつた三郎の使ひ残した護謨ごむ乳首ちヽくびづ目が附きます。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
枕元まくらもと朱塗しゆぬりぼん散藥さんやくふくろ洋杯こつぷつてゐて、その洋杯こつぷみづ半分はんぶんのこつてゐるところあさおなじであつた。あたまとこはうけて、ひだりほゝ芥子からしつた襟元えりもとすこえるところあさおなじであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)