沙門しやもん)” の例文
沙門しやもん紹偵せうていといふのは彼の息子です、佛門へ入つて修行してゐる。ところが、これが親父の眞似をするわけです。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
在俗の名は慶滋よししげ保胤やすたね、世に内記の上人と云ふのは、空也くうや上人の弟子の中にも、やん事ない高徳の沙門しやもんだつた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
婆羅門ばらもん苦行くぎやう沙門しやもん、あるはまた
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
明らかに吐出はきだす流れるたつの口さて又諸國よりの訴訟そしよう人共士農工商しのうこうしやう出家しゆつけ沙門しやもん醫者いしや山伏やまぶしの諸民に至るまで皆々相詰罷在まかりあれば程なく本多長門守領分りやうぶん遠州榛原郡はいばらごほり水呑村九助一件這入はひりませいと呼込よびこみになり一同ハツと答へ願人相手方其外村役人共付そひ白洲へ繰込くりこむ九助は領主より引渡ひきわたしのまゝいまだ足枷あしほだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もう一人は、黄色い法衣ころもを着て、耳に小さな青銅からかねの環をさげた、一見、象貌しやうばう奇古きこ沙門しやもんである。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
うま月毛つきげの、——たし法師髮ほふしがみうまのやうでございました。たけでございますか? たけ四寸よきもございましたか? ——なにしろ沙門しやもんことでございますから、そのへんははつきりぞんじません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)