ちん)” の例文
ちん大佐は洋風の机の前で書類を調べていた。孫軍曹を見ると、つやのある、右と左と大きさの違う眼をぐっと開いて
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
それ以来幕末まで、日本人とは婚姻を結ばずにずっと此処ここに住んでいたのでありますから、今もちんとかきんとかさいとかいう名を用いる者が少くありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ちんでんし切ってしまったような形になっているが、この十軒店あたりに残っている江戸の人達には、新しさに触れる機会が多いせいか、どこか生々したところがあって
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それはちんせんぶつこんしんの五人であった。ある夜、渾の夢に父がきて
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そうか、それはよかった。これは返事だ。同様機密だから、そのつもりでちん団長に手渡しするのだぞ」
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
朝鮮人をすべて高麗人と呼ぶのは昔からのならわしである。今も半数は鮮姓を承ぎ、ちんさいていぼくきんりんべん等昔のままである。明治までは特殊な部落であって雑婚を堅く封じられた。
苗代川の黒物 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
命じられた通り、ちん団長の名刺を出して、軍務司長の副官、しゅう少佐に面会を求めると、会議だというのに副官はすぐ出て来て、忙しそうに、用件を簡単にと云った。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)