沈丁花ちんちょうげ)” の例文
沈丁花ちんちょうげの花のしたのをお風呂へ入れてあげるから入りなさい。そりゃいいにおいで気がさんじるから。」母は話さなかったが
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
庭には沈丁花ちんちょうげあまが日も夜もあふれる。梅は赤いがくになって、晩咲おそざき紅梅こうばいの蕾がふくれた。犬が母子おやこ芝生しばふにトチくるう。猫が小犬の様にまわる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
木蓮もくれん薔薇ばら沈丁花ちんちょうげの匂いがする」
ひるの前後はまた無闇むやみあたたかで、急に梅が咲き、雪柳ゆきやなぎが青く芽をふいた。山茱萸さんしいは黄色の花ざかり。赤いつぼみ沈丁花ちんちょうげも一つ白い口をった。春蘭しゅんらん水仙すいせんの蕾が出て来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
夕方、しずかになった墓地に往って見る。沈丁花ちんちょうげ赤椿あかつばきの枝が墓前ぼぜん竹筒たけつつや土にしてある。線香せんこうけむりしずかにあがって居る。不図見ると、地蔵様の一人ひとり紅木綿べにもめんの着物をて居られる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)