トップ
>
沈丁花
>
じんちょうげ
ふりがな文庫
“
沈丁花
(
じんちょうげ
)” の例文
木蓮や
沈丁花
(
じんちょうげ
)
や
海棠
(
かいどう
)
や李が咲いていたが、紗を張ったような霞の中では、ただ白く、ただ薄赤く、ただ薄黄色く見えるばかりであった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
梅がさかりを過ぎ、
沈丁花
(
じんちょうげ
)
が咲きはじめた。歩いていると、ほのかに花の匂いがし、その匂いが、梅から沈丁花にかわったこともわかる。——
ちゃん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
沈丁花
(
じんちょうげ
)
の匂う家々の前をすぎ、小さな流れの橋を渡って田圃道にさしかかるとミネはううっと声をあげて泣いた。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
礫
(
つぶて
)
のようについと一羽の十姉妹が破れ目から庭へ飛び去った。続いて紅雀、残った十姉妹。あるものはすぐ縁側の下の
沈丁花
(
じんちょうげ
)
のこんもりした枝に止った。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
四方一帯、春昼の
埃臭
(
ほこりくさ
)
さのなかに、季節に後れた
沈丁花
(
じんちょうげ
)
がどんよりと
槙
(
まき
)
の樹の根に咲き匂っている。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
写生帳には
瓶
(
びん
)
の梅花、水仙、学校の門、
大越
(
おおごえ
)
の桜などがあった。
沈丁花
(
じんちょうげ
)
の花はやや
巧
(
たく
)
みにできたが、葉の
陰影
(
かげ
)
にはいつも失敗した。それから
緋縅蝶
(
ひおどしちょう
)
、
紋白蝶
(
もんしろちょう
)
なども採集した。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
あの中には中野の友人から贈られた茶の実ばかりでなく、
築地
(
つきじ
)
の方に住む知人が集めてくれた
銀杏
(
いちょう
)
、
椿
(
つばき
)
、
沈丁花
(
じんちょうげ
)
、その他都合七
種
(
いろ
)
ばかりの東洋植物の種子があったことを思い出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
雪は
莟
(
つぼみ
)
を持った
沈丁花
(
じんちょうげ
)
の下に都会の
煤煙
(
ばいえん
)
によごれていた。それは何か僕の心に
傷
(
いた
)
ましさを与える眺めだった。僕は巻煙草をふかしながら、いつかペンを動かさずにいろいろのことを考えていた。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娘
(
こ
)
の部屋を仮の書斎や
沈丁花
(
じんちょうげ
)
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
路
(
みち
)
から庭や座敷がすっかり見えて、
篠竹
(
しのだけ
)
の五、六本
生
(
は
)
えている下に、
沈丁花
(
じんちょうげ
)
の小さいのが二、三株咲いているが、そのそばには
鉢植
(
はちう
)
えの花ものが五つ六つだらしなく並べられてある。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
その中からは
銀杏
(
いちょう
)
、椿、
山茶花
(
さざんか
)
、藤、
肉桂
(
にくけい
)
、
沈丁花
(
じんちょうげ
)
なぞの実も出て来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“沈丁花(ジンチョウゲ)”の解説
ジンチョウゲ(沈丁花、学名: Daphne odora)は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木。別名でチンチョウゲともいわれる。中国名は瑞香、別名:輪丁花。原産地は中国南部で、中国から日本に渡来して、室町時代にはすでに栽培されていたとされる。クチナシ、キンモクセイとともに、日本の三大芳香木の一つに数えられる。
(出典:Wikipedia)
沈
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
丁
常用漢字
小3
部首:⼀
2画
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
“沈丁”で始まる語句
沈丁
沈丁香