江刺えさし)” の例文
近刊佐々木喜善君の『江刺えさし郡昔話』に出でいる灰蒔き爺の話は教科書に載ったものとは異態で、田舎びたるだけこの話の原始的のものたるを示す。
この話の代表的なものともみるべきものに、奥では糠部ぬかべ(1)の糠部長者の竈の火焚き男、アラミの郷々くにぐにでは江刺えさし郡の花若話(2)などがそれである。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
和賀わが郡の成島なるしまには古くから紙漉の業が伝わります。近くの土沢つちさわでも優れた染紙の仕事が興りました。江刺えさし郡の田茂山たもやまは金物の土地として記憶されるところ。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その中で岩手県の江刺えさし紫波しわ二郡から採録せられた話だけに、この鼠穴の例と思い合わせられる特徴があった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
八月七日奥羽に白川白石登米とよま九戸くのへ江刺えさしの五県が新置せられ、毅堂は陸前国登米県の権知事に任ぜられた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
本郷へ來ると、彼醉僧すゐそうは汽車を下りて、富士形の黒帽子を冠り、小形の緑絨氈みどりじうたんのカバンを提げて、蹣跚まんさんと改札口を出て行くのが見えた。江刺えさしへ十五里、と停車場の案内札に書いてある。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
本郷へ来ると、彼酔僧すいそうは汽車を下りて、富士形の黒帽子をかぶり、小形の緑絨氈みどりじゅうたんのカバンをげて、蹣跚まんさんと改札口を出て行くのが見えた。江刺えさしへ十五里、と停車場の案内札に書いてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
陸中江刺えさし黒石くろいし正法寺しょうぼうじで、石地蔵が和尚に告げ口をしたために常陸かいどうの身の上があらわれた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奥州では南部の沼宮内ぬまくない、陸前の気仙けせん郡、羽後の飽海あくみ郡などの数カ所だけであって、その他は陸中の上閉伊かみへい江刺えさしの二郡、羽前の米沢よねざわ、南秋田の半島、および信州の下水内しもみのち郡において
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
陸中江刺えさし伊手いで村字阿原山
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)