“汚泥(はね)” の例文
頭(あたま)のてっぺんまで、汚泥(はね)の揚(あ)がるのもお構(かま)いなく、横(よこ)ッ飛(と)びに飛(と)び出(だ)した市松(いちまつ)には、雨(あめ)なんぞ、芝居(しばい)で使(つか)う紙(かみ)の雪(ゆき)ほどにも感(かん)じられなかったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
番頭(ばんとう)の幸兵衛(こうべえ)は、壁(かべ)の荒塗(あらぬ)りのように汚泥(はね)の揚(あ)がっている松(まつ)五郎(ろう)の脛(すね)を、渋(しぶ)い顔(かお)をしてじっと見守(みまも)った。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
背中(せなか)一杯(ぱい)の汚泥(はね)も忘(わす)れたように、廊下(ろうか)の暖簾口(のれんぐち)で地駄(じだ)ン駄(だ)踏(ふ)んで、おのが合羽(かっぱ)をむしり取(と)っていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)