あるき)” の例文
凝如じつとしていても爲方しかたが無いので、バレツトも平筆ふでも、臺の上にほうツたらかしたまゝ、ふいとツてへやの内をあるき廻ツて見る。それでも氣は變らない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼はいつの間にかともされた蒼白い街燈の下を過ぎて、低い空を赤く染出している賑かな町の方へあるき出した。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
種彦はどこかこの近辺に閑静で手軽な料理茶屋でもあらば久ぶり門人らと共に中食ちゅうじきととのえたいと言出すと、毎日のぞめきあるきに至極案内知ったる柳下亭種員たねかず心得たりという見得みえ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今でも草臥くたびれずに駆けておあるきなさいますか。
二人の刑事は急ぎあるきで二三歩引かえして
祭の夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
どちらへ向いておあるきになっても
あるきになりますと、9760