此者これ)” の例文
長「黙れ、毀した事は先刻さっきわしく見て置いたぞ、お父さま、迂濶うっかりしてはいけません、此者これは中々油断がなりません、さ、早く致せ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
×「殿様此者これくらい酔って居まして唯詰らねえことを云ってたんで出鱈まえで、唯茫然ぼんやり、変な話なんで、嘘を云ったんで」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
えゝ何とか云いッけ……戸村主水とむらもんどとかいう人は智慧があると云いやした、此者これが羽振のい処だ、其の人らの云う事は殿様も聴くだ、御家来に失策しくじりが有っても
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主「ヘエ、金子は奪られは致しません、此者これよりきにうちへ届いて居りましたから二重でございます」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はい……此者これわたくし秘蔵ひそうな孫でございますが、松五郎お瀧の行方を探してる身の上で、此者が両親と申すものは其のお瀧松五郎ゆえに非業な死を遂げましたのは
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此者これがまた貴公のとこへ嫁す時に、其の千円の持参を持ってくのじゃ、ちっとも出すのじゃアない、詰り貴公の懐へ這入るじゃが、然うせんければ事おだやかに治まらん
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成程伊香保で御懇命ごこんめいこうむった……是は始めて御意得ます、予々かね/″\此の者からお噂ばかり聞いて居りますが、此者これは私の姪筋めいすじに当る者でござるが、不幸にして男縁がなく
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の折はまた此者これが不調法な詰らん事を申し貴方に御苦労を掛けまして、なんともうもお礼の申上げようがございません、まったくは此者が泥坊に奪られたのではございません
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の年の秋までに謀策たくみ仕遂しおおせるのに一番むずかしいものは、浮舟うきふねという老女で年は五十四で、男優おとこまさりの尋常ひとゝおりならんものがいて居ります。此者これを手に入れんければなりません。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
藤「わたくしうちへ入っしゃいました、左様ですか、えゝ此者これがその孫兵衞と申す者」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴方のようなお方が後見になって下されば私はすぐ暖簾のれんを分けて遣るつもりで、命の親という縁もございますから、親兄弟の無いものゆえ、此者これを貴方の子にして遣って下さいまし、文七も願いな
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
×「えゝ殿様、此者これは全くくらい酔って迂濶うっかり云ったんで」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)