此池このいけ)” の例文
なんだか此池このいけ仕切しきつた屋根やねのあたりでしきりつぶてつやうなおとがしたが、ぐる/\うづいちやあ屋根やねうへ何十なんじふともないつぶてがひよい/\けて歩行あるやうだつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それはき兄の物なりしをつたへていと大事と思ひたりしに果敢はかなき事にてうしなひつるつみがましき事とおもふ、此池このいけかへさせてなど言へどもださながらにてなん
月の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此池このいけの深さいくばくともはかられぬ心地こゝちなりて、月はそのそこのそこのいと深くに住むらん物のやうに思はれぬ、久しうありてあふぎ見るに空なる月と水のかげといづれをまことのかたちとも思はれず
月の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)