機関車きかんしゃ)” の例文
旧字:機關車
機関車きかんしゃの下からは、力のないげがげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
機関車きかんしゃの前へのこのこでてきてにげようともしないので、汽笛きてきをピイピイらしてやっといはらったというような話もあった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
運転手うんてんしゅや、車掌しゃしょうや、汽車きしゃっているかかり人々ひとびとは、汽車きしゃからりて、機関車きかんしゃしたあたりをのぞいていました。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、機関車きかんしゃ小窓こまどから前の方を注意ちゅういしていた私は、思わずアッと声をたてました……。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
黒い立木たちきが、かすかに夜の空にすけて見えて、時々、機関車きかんしゃのはく火のが、赤い線をえがいて高く低く飛びさる。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
機関車きかんしゃの前の方の小窓こまどからのぞきますと、右手はふかくしげった山のふもとで、左手には小さな谷川がながれていまして、二本のレールがあおじろくまっすぐにつづいています。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
(ぼくは立派りっぱ機関車きかんしゃだ。ここは勾配こうばいだからはやいぞ。ぼくはいまその電燈でんとうを通りす。そうら、こんどはぼくの影法師かげぼうしはコンパスだ。あんなにくるっとまわって、前の方へ来た)
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
私はいきなり、助手じょしゅやほかの火夫かふといっしょに、機関車きかんしゃからとびだして、かけつけていきました。みると、火夫かふは大きなけだものを力一ぱいにおさえつけています。それは、年とった一ぴきの大きなたぬきでした。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)