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樗
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おうち
ふりがな文庫
“
樗
(
おうち
)” の例文
獄中にあった北条残党の武士は、毎日のように曳き出しては首を斬り、六条獄門外の
樗
(
おうち
)
の木の根に大きな穴をほって、樗の
肥
(
こえ
)
にしてしまった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宗盛親子の首は、二十三日、京に着いて、三条通りを西へ、東洞院へ引き廻してから、
樗
(
おうち
)
の木に掛けて獄門にさらした。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
女が駿河路にかかったときには花後の
樗
(
おうち
)
の空に、ほととぎす鳴きわたり、
摺
(
す
)
らずとも草あやめの色は、裳に露で染った。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
石磈道
(
いしころみち
)
を向うへ切って、
樗
(
おうち
)
の花が
咲重
(
さきかさな
)
りつつ、屋根ぐるみ
引傾
(
ひっかたむ
)
いた、日陰の小屋へ
潜
(
くぐ
)
るように入った、が、今度は経肩衣を
引脱
(
ひきぬ
)
いで、小脇に絞って取って返した。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうせ一度は
樗
(
おうち
)
の
梢
(
こずえ
)
に、懸ける首と思っていますから、どうか
極刑
(
ごっけい
)
に遇わせて下さい。(
昂然
(
こうぜん
)
たる態度)
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
上には屋根が無いが、
樗
(
おうち
)
の木が多く植えてあって、それでいくらか炎日を避けることは出来た。雨天は武場は休みであった。私の入門した頃はもう寒い頃であった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
原の入口に大きな
樗
(
おうち
)
の樹があって、暑い日ざかりはここが二人の
休憩場
(
やすみば
)
になっている。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
菖蒲
(
しょうぶ
)
重ねの
袙
(
あこめ
)
、
薄藍
(
うすあい
)
色の上着を着たのが西の対の童女であった。上品に
物馴
(
ものな
)
れたのが四人来ていた。下仕えは
樗
(
おうち
)
の花の色のぼかしの
裳
(
も
)
に
撫子
(
なでしこ
)
色の服、若葉色の
唐衣
(
からぎぬ
)
などを装うていた。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
賀茂の競馬を見に行ったら、
樗
(
おうち
)
の木に坊主が上って、木の
叉
(
また
)
のところで見物していた。木につかまりながら眠りこけて、落ちそうになるかと思うと、ハッと目をさましてまた眠り出す。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
都の東獄の門前にある
樗
(
おうち
)
の木に
梟
(
か
)
けられました
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
樗
(
おうち
)
の木を見に行ったか」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
樗
漢検準1級
部首:⽊
15画
“樗”を含む語句
滝田樗陰
樗牛
樗良
老樗軒
樗蒲一
樗門
高山樗牛
樗堂
樗園
樗山
樗山子
樗櫟之材
樗牛会
樗蒲
樗陰
黒樗文絹