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植村樣
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うゑむらさま
それはお
前が
知らぬから
其樣な
憎ていな
事も
言へるものゝ
三日交際をしたら
植村樣のあと
追ふて
三途の
川まで
行きたくならう、
番町の
若旦那を
惡いと
言ふではなけれど
植村樣に
遇はして
下さるか、むゝ
遇はして
遣る、
呼んでも
來る、はやく
癒つて
御兩親に
安心させて
呉れ、
宜いかと
言へば、あゝ
明日は
癒りますると
憚りもなく
言ひけり。
今日癒りまする、
癒つて
兄樣のお
袴を
仕立て
上げまする、お
召も
縫ふて
上げまする、それは
辱し
早く
癒つて
縫ふて
呉れと
言へば、
左樣しましたらば
植村樣を
呼んで
下さるか