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棟割
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むねわり
ふりがな文庫
“
棟割
(
むねわり
)” の例文
棟割
(
むねわり
)
長屋を一軒仕切ったというような軒の低い家で、風雨にさらされて黒くなった
大和障子
(
やまとしょうじ
)
に糸のような細い雨がはすに降りかかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
佐内坂の崖下、
大溝
(
おおどぶ
)
通りを
折込
(
おれこ
)
んだ細路地の裏長屋、
棟割
(
むねわり
)
で四軒だちの
尖端
(
とっぱずれ
)
で……崖うらの
畝々坂
(
うねうねざか
)
が引窓から
雪頽
(
なだ
)
れ込みそうな
掘立一室
(
ほったてひとま
)
。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだ口を割らないが、
多寡
(
たくわ
)
が
棟割
(
むねわり
)
長屋だ。家の外へ隱すやうなこともあるまいから、床下でも掘ればいづれは出て來るよ」
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、若い武士の
思惑
(
おもわく
)
としては、たかが安手の芸人である。どこかみすぼらしい露路の奥の、
棟割
(
むねわり
)
長屋の一軒へでも、はいって行くものと思っていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
家じゅうがらんとして……というと相応に広そうだが、あさくさ御門に近い
瓦町
(
かわらまち
)
の露地の奥、そのまた奥の奥というややこしい九尺二間の
棟割
(
むねわり
)
である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
人の太腿を
抓
(
つね
)
ったりすることは、あたりまえの挨拶と心得ているに過ぎない、下町の
棟割
(
むねわり
)
の社会などには、こんなことはざらにある、すなわち、親爺や兄貴などから
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
早い話が、此の家にしても然うじやないか、三軒の
棟割
(
むねわり
)
長屋を二軒まで田舎者に
占領
(
せんりやう
)
されてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
サア出ようと思ったが、
迚
(
とて
)
も表からは出られませんから、屋根伝いにして逃げようと、
階子
(
はしご
)
を
上
(
あが
)
って裏手の小窓を開けて見ると、ずうっと
棟割
(
むねわり
)
長屋になって物干が
繋
(
つな
)
がって居て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
向島の
請地
(
うけじ
)
にまだ壁も乾かない新建ちの
棟割
(
むねわり
)
を見つけて契約し、その日のうちに荷造りをしてトラックで運び出してしまい、千葉を引き払った銀子たちがそこへ落ち着いたのは
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
同じ新開の町はづれに八百屋と
髪結床
(
かみゆひどこ
)
が
庇合
(
ひあはひ
)
のやうな細露路、雨が降る日は傘もさされぬ窮屈さに、足もととては
処々
(
ところどころ
)
に
溝板
(
どぶいた
)
の落し穴あやふげなるを中にして、両側に立てたる
棟割
(
むねわり
)
長屋
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
前の
棟割
(
むねわり
)
長屋では、垣から垣へ物干竿をつらねて、汚ない
襤褸
(
ぼろ
)
をならべて干した。栗の花は多く地に落ちて、泥にまみれて、汚なく人に
踏
(
ふ
)
まれている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
棟
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
割
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
“棟割”で始まる語句
棟割長屋
棟割牢
棟割長家