染附そめつけ)” の例文
鍋島なべしまの藍絵等は軟弱であって支那の染附そめつけに向っては太刀打ちができない。だがこれらの貧しい藍絵ばかりは負けずにすむ。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
近世に入ってからは血取ちとりとも油取あぶらとりとも名づけて、罪なき童児の血や油を、何かの用途に供するかのごとく想像し、近くは南京皿なんきんざら染附そめつけに使うというがごとき
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ならわしとして前のものを「染附そめつけ」または「呉州ごす」といい、後のものを「赤絵あかえ」とか「上絵うわえ」とか呼びます。よく寿司屋が用いる「錦手にしきで」の皿や鉢は皆赤絵であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
波佐見はさみの中尾山から「くらわんか」や五郎八ごろはち茶碗の破片が沢山出る。古くそこで石焼きの雑器を大量に作ったのである。長与ながよ近在の窯跡から例の染附そめつけ猪口ちょくの断片が沢山出る。
北九州の窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
青磁や白磁や染附そめつけの焼物に比べてごく質素なものではあり、今も盛に焼くものであるから、誰も粗末に見てかばってはくれぬ。しかし何であろうと朝鮮固有の品に醜いものはあり得ない。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
あの李朝の染附そめつけはなぜかくも私たちの心をくか。そこには質素な訥朴とつぼくな心があるからである。驚くべき模様の単純化があるからである。しばしば何が原画であったかさえ知りがたい。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
藍絵あいえ染附そめつけもありますが、特に赤絵で名を広めました。九谷焼は支那の影響を受けているためか、伊万里焼のような優しい美しさではなく、どこか大陸的な骨っぽいところがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かかる多種への要求は健全なものであろうか。一身で青磁とらく染附そめつけ赤絵あかえと型と磁器と陶器とこれらのすべてをなすことに誇りがあるべきであるか。そこにはどこかうそがありはしまいか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
第一は明らかに南方支那系のもので、南蛮を始め、大まかに描いた染附そめつけの如きは明らかにその流れを示している。呂宋ルソンと呼ばれるもの、宋胡録そんころくとして知られるものも、琉球にその影響を見せる。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
品物もあらゆるものに及び、技法もあらゆる変化に及びます。堅い磁器から柔かい楽焼らくやき、白い白磁はくじ、青い青磁せいじあい染附そめつけ、赤の上絵うわえ、または象嵌ぞうがん絞描しぼりがき流釉ながしぐすり天目てんもく緑釉みどりぐすり海鼠釉なまこぐすり、その他何々。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)