しもと)” の例文
倶不戴天ぐふたいてんの親のあだ、たまさか見付けて討たんとせしに、その仇は取り逃がし、あまつさへその身は僅少わずかの罪に縛められて邪見のしもとうくる悲しさ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
もし刑罰とすれば、めぐみしもとなさけむちだ。実際その罪を罰しようとするには、そのまま無事に置いて、平凡に愚図愚図ぐずぐず生存いきながらえさせて、しわだらけのばばにして、その娘を終らせるがいと、私は思う。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼は肴屋さかなや店頭みせさき魚骨ぎょこつを求めて、なさけ知らぬ人のしもと追立おいたてられ。或時は村童さとのこらかれて、大路おおじあだし犬と争ひ、或時は撲犬師いぬころしに襲はれて、藪蔭やぶかげに危き命をひらふ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)