斜違はすか)” の例文
うちのか、よそのか、かさなりたゝんだむねがなぞへに、次第低しだいびくに、溪流けいりうきしのぞんで、通廊下かよひらうかが、屋根やねながら、斜違はすかひにゆるのぼり、またきふりる。……
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その空溝を隔てた、むぐらをそのまま斜違はすかいにおり藪垣やぶがきを、むこう裏からって、茂って、またたとえば、瑪瑙めのうで刻んだ、ささがにのようなスズメの蝋燭が見つかった。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
枝にこずえに、雪の咲くのを、炬燵で斜違はすかいに、くの字になって——いいおんなだとお目に掛けたい。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
胸へばかり込上げる——その胸を一寸ずつ戸擦れに土間へ向けて斜違はすかいに糶出せりだすんですがね、どうして、つかまった手は、段々堅く板戸へ喰入るばかりになって、てこでも足が動きません。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところで、いつでも用あり次第、往通ゆきかいの出来るようにと、……一体土間のその口にも扉がついている。そこと、それから斜違はすかいに向い合った沓脱の上の雨戸一枚は、閉めないで、障子ばかり。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取込とりこむ時引外ひきはずしたままの掛棹かけざおが、斜違はすかいに落ちていた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)