放棄ほう)” の例文
かれはおつぎの意中いちうかいしてるので吸殼すひがらけつしてにつくところへはてないでこまかにんでそとついで他人たにん垣根かきねなかなどへ放棄ほうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼は悠然やおら立って着衣きものの前を丁寧に合わして、とこ放棄ほうってあった鳥打ち帽を取るや、すたこらと梯子段はしごだんりた。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
もう、そろそろここのうちでも門を締めて寝てしまう時分である。もしこのままに放棄ほうってしまうようなことでもしたら、どうしてやろう。いっそ、このまま床を取らして寝ておろう。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「組合は組合で放棄うっちゃって置け、彼らの書いた種が上がれば、相手にする必要はない。文句をいって来たら、人名録を突き附けて先方の落ち度を抑えてやれば好い。放棄ほうって置け放棄って置け」