揺上ゆりあ)” の例文
旧字:搖上
雪枝ゆきえはハツとせて、いは吸込すひこまれるかと呼吸いきめたが、むね動悸だうきが、持上もちあ揺上ゆりあげ、山谷さんこくこと/″\ふるふをおぼえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
椅子も傾くばかりに身をそらして、彼はわざとらしく揺上ゆりあげ揺上げて笑ひたりしが
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
紳士の身体からだは靴を刻んで、揺上ゆりあがるようだったが、ト松崎が留めたにもかかわらず、かッと握拳にぎりこぶしで耳をおさえて、横なぐれに倒れそうになって、たちまち射るがごとく町を飛んだ。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
む無く彼は加減して歩めり。満枝は着重きおもるシォウルを揺上ゆりあげて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
またしきりに鳴き出す——足許あしもとの深い谷から、そのしろがねの鈴を揺上ゆりあげると、峠から黄金こがねの鐸を振下ろして、どこで結ばるともなく、ちりりりと行交ゆきかうあたりは、目に見えぬの葉が舞い、霧が降る。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
宮はシォールを揺上ゆりあげて鼻のなかばまで掩隠おほひかくしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)