“押揉(おしも)” の例文
と肩を揺(ゆす)って、無邪気と云えば無邪気、余り底の無さ過ぎるような笑方。文学士と肩書の名刺と共に、新(あたらし)いだけに美しい若々しい髯(ひげ)を押揉(おしも)んだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唄が少々疲れてきたのと、四天王の祈りがばかに景気よくなって、無暗に珠数(じゅず)を押揉(おしも)む形が、珠数を揉むよりも、芋を揉むような形に見え出したのだから、道庵が訝(おか)しいと見ました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さてやがて乗込(のりこ)むのに、硝子窓(ガラスまど)を横目(よこめ)で見(み)ながら、例(れい)のぞろ/\と押揉(おしも)むで行(い)くのが、平常(いつも)ほどは誰(だれ)も元気(げんき)がなさゝうで、従(したが)つて然(さ)まで混雑(こんざつ)もしない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
袂を支える旅僧と、押揉(おしも)む二人の目の前(さき)へ、この時ずか、と顕(あら)われた偉人の姿、靄(もや)の中なる林のごとく、黄なる帷子(かたびら)、幕を蔽(おお)うて、廂(ひさし)へかけて仁王立(におうだち)、大音に
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)