手強てごは)” の例文
かくの如きものは、自由詩に對する最も手強てごはい拒絶である。けれどもその論旨の一部は、單なる言語上の空理を爭ふにすぎない。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
こんな言葉には焦立いらだたなかつた。實際、背後の岩にりかゝつて、兩腕を胸に組み、少しも動じないその顏色を見ると、彼は長い手強てごはい反對も覺悟してゐるのであつた。
非道な高利貸かうりかしを始め、生活を極度に切り詰めて、手強てごはく意見をするお皆を裸にして放り出したのは今から十年前、お皆は人知れず娘お濱と往來ゆきゝして、夫の心の解けるのを待ちましたが
何の手も無く奪ひ取り懷中せんとするをりからあとより人聲ひとごゑがする故に重四郎は振返ふりかへり彼は定めし子分こぶん奴等やつら何も恐るゝにはあらねども水戸浪人奴みとらうにんめちと手強てごはやつ見付られては面倒也めんだうなり早々此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すこし酔がまはつて、物が面倒くさくなると、秋山氏は口のなかの蠅などは頓着なく、一息に洋盃コツプをあふりつけるので、蠅はそのまゝ咽喉を滑りおちて、この手強てごはい軍人の胃の腑にもぐつて往つた。
「おれの虱はちと手強てごはいぞ。」
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
させ置て不意ふいに幸手へ押掛おしかけ三五郎を討取うちとる工夫くふう幾等いくらも有うと言ふに掃部も成程敵は知て居上ならばマア急事せくこともねへが彼が兄弟分の重四郎と云ふやつは少し手強てごはひ奴なり然し侠氣たてひきも有奴だから親分の敵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「支度をしろ、——少し手強てごはいぞ」