感佩かんぱい)” の例文
御大腹の君として、たとい、将曹如き奸物にもせよ、こう仰せられるのは、われら家来として、ただ、感佩かんぱいの外に無いが、事による。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
感佩かんぱいいたしましてござりまする! ……ご子息の貴所様におかれましても、敵の将卒多く討ちとり、ここにてご生害しょうがいと見申した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「大目付殿の御慈悲……家中の者も感佩かんぱい仕るで御座ろう。その御心中がわからぬ与九郎でも御座るまいが……」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
唯殊恩のあつきを感佩かんぱいして郷里に歸り、曾て風波の痕を見ざりしは、世界中に比類少なき美事と云ふ可し。
帝室論 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
「あ、そう。」とれいの鷹揚おうようぶった態度で首肯うなずいたが、さすがに、感佩かんぱいしたものがあった様子であった。
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「これは藤波先生、遠路のところを、ようこそ。……さすが、江戸一の捕物の名人といわれるだけあって、職務にはご熱心、はばかりながら、感佩かんぱいいたしました」
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「ありがたき御芳志ほうし、手前主人にもなれなく取りつぎまする考え、いかに感佩かんぱいいたしますことか……」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
河瀬内田二子の士を愛せるには今も深く感佩かんぱいし居る。
「謹啓。厳寒之候筆硯益御多祥奉賀候。陳者のぶれば頃日このごろ伊沢辞安の事蹟新聞紙に御連載相成候由伝承、辞安の篤学世に知られざりしに、御考証に依つて儒林に列するに至候段、闡幽せんいうの美挙と可申、感佩かんぱい仕候事に御座候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたしは、とるばうもなしに、一禮いちれいして感佩かんぱいした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……イヤ感佩かんぱい致しました。聴衆の感動は非常なものです。先生の御熱誠の力でしょう。三時間もの大演説がホンノちょっとのにしか感じられませんでした。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
貴兄の御厚意身にみて感佩かんぱいしています。あるいは御厚意裏切ること無いかと案じています。では、取急ぎ要用のみ。前略、後略のまま。大森書房内、高折茂。太宰学兄。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
とはいえ私は十六七歳になってから、こうした父の言葉を痛切に感佩かんぱいし、一も体力、二も体力と考えるようになった。さもなければ私は二十四五位で所謂、夭折ようせつというのをやっていたかも知れない。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)