悔恨くわいこん)” の例文
主人萬兵衞の顏には、一瞬悔恨くわいこんと自責ともつかぬ、苦澁な雲がサツと擴がりました。が、さすがに大店おほだなの主人らしい自尊心を取戻して、靜かに語り續けるのです。
帰つて行きましたが、翌朝新聞を見ますると、職工の芸妓殺げいぎころしと云ふ二号題目みだしの二版がある、——アヽ、何故なぜ無理にも前夜一泊させなかつたかと、実に悔恨くわいこんの情に堪へませんでした
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
子供と云ふものは、私がしたやうにその年長者と爭ひ、また私がしたやうにはげしい感情をやけに働かせる時には、きつと後になつて、悔恨くわいこんの苦しみと反動の肌寒はださむさを經驗するものである。
彼等かれら安井やすゐ半途はんと退學たいがくさせ、郷里きやうりかへらせ、病氣びやうきかゝらせ、もしくは滿洲まんしうつたつみたいして、如何いか悔恨くわいこんくるしみをかさねても、うすること出來できない地位ちゐつてゐたからである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
悔恨くわいこんの闇みだくづれくづるる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
久六の言葉には、淡い悔恨くわいこんらしい響きがあります。