恩恵めぐみ)” の例文
旧字:恩惠
聴かれざるに依てなお一層爾に近づくは難し、後者は前者にまさりて爾より特別の恩恵めぐみを受けしものなるを
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
なんぢたみぞを大にうるほし、うねをたひらにし、白雨むらさめにてこれをやはらかにし、そのえ出づるを祝し、また恩恵めぐみをもて年の冕弁かんむりとしたまへり。なんぢの途にはあぶらしたゝれり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
君を信用するに足りる三年の時日を君に与えると言われたのは、実にこの上ない恩恵めぐみでしょう。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「確かに奇蹟が行われたのですよ。主が特別の恩恵めぐみを垂れ給うたのですよ」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
貴郎あなたに感謝してますよ、貴郎の様な男らしい男をおとゝと呼ばせ給ふ神様は、何と云ふ恩恵めぐみ深くて居らつしやるでせう、私のうれしく思ふのは、天では神様、そして地では、剛さん、貴郎あなたばかりです——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「私はプラトンの本もまたアリストテレスの本も読んだことはない、ただイエス・キリストの恩恵めぐみにあずかった憐れなる罪人であるから、ただわが思うそのままを書くのである」
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
天は不幸なるこの重右衛門にこのわづかなる恩恵めぐみをすら惜んで与へなかつたので、尋常よりもなほ数等愚劣なるかれの妻は、この危機に際して、あらう事か、不貞腐ふてくされにも、夫の留守を幸ひに
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
また十節—十二節は「汝は我を乳の如くそそ牛酪ぎゅうらくの如くに固め給いしにあらずや、汝は皮と肉とを我に着せ骨とすじとをもて我をみ、生命いのち恩恵めぐみとを我に授け我をかえりみてわがいきを守り給えり」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)