怜悧者りこうもの)” の例文
抱起だきおこして「これ、俯向うつむき轉倒ころばしゃったな? いま一段もっと怜悧者りこうものにならッしゃると、仰向あふむけ轉倒ころばっしゃらう、なァ、いと?」とふとな
逆賊となっても赫々かくかくの光を失わず、勝は、一代の怜悧者りこうものとして、その晩年は独特の自家宣伝(?)で人気を博していたが、小栗はうたわれない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
飯粒めしつぶらるゝ鮒男ふなをとこがヤレ才子さいしぢや怜悧者りこうものぢやとめそやされ、たまさかきた精神せいしんものあればかへつ木偶でくのあしらひせらるゝ事沙汰さたかぎりなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「もう失敗してもいない。おれは昔の怜悧者りこうものではない。おれは明治めいじの人間だ。明治の天子様は、たとえ若崎が今度失敗しても、畢竟ひっきょうみとめて下さることを疑わない」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
阿父様おとうさま、この人怜悧者りこうものなの、それとも馬鹿?」
マーキュ 彼奴あいつめは怜悧者りこうものぢゃ、一定てっきりとうに拔駈ぬけがけして、今頃いまごろは(うちに)てゐるのであらう。