御符ごふう)” の例文
後から後からと他の学科が急立せきたてるから、狼狽あわてて片端かたはしから及第のおまじないの御符ごふうつもり鵜呑うのみにして、そうして試験が済むと、直ぐ吐出してケロリと忘れて了う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
天滿與力てんまよりきは、ふとぼうなにかでむねでもかれたやうに、よろ/\としながら、無念氣むねんげ玄竹げんちく坊主頭ばうずあたまにらけたが、『多田院御用ただのゐんごよう』の五文字いつもじは、惡魔除あくまよけの御符ごふうごと
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
家相、方角、星占いだよ。んぞんぞのさわりというては。祈祷、禁厭まじない御神水おみずじゃ、お守札ふだじゃ。御符ごふうなんぞを頂戴させて。どうぞ、こうぞで済まして来たが。それじゃ治療なおらぬ病気の数々。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)