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御歸館
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ごきくわん
得し上
此方より申上べし
先夫れ迄は
當表に
御逗留緩々御遊覽有べき樣
言上せらるべし
御證據の品々は
先御納下さるべしと伊賀亮へ
返しぬ是より種々
饗應に及び其日の八つ
過に
御歸館を
出づる
大黒傘の
上に
雪つもるといふ
間もなきばかり
速かに
立歸りて
出入の
車宿名殘なく
出拂ひて
挽子一人も
居ませねばお
氣の
毒さまながらと
女房が
口上其まゝの
返り
事に
然らば
何とせんお
宅にお
案じはあるまじきに
明早朝の
御歸館となされよなど
親切に
止められるれど
左樣もならず