御像みぞう)” の例文
紫宸ししん清涼せいりょう弘徽殿こきでんなどになぞらえられていた所の一切の御物ぎょぶつ——また昼の御座ぎょざの“日のふだ”、おん仏間の五大尊の御像みぞう
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すこし広き所に入りてみれば壁おちかかり障子はやぶれ畳はきれ雨もるばかりなれども、机に千文ちふみ八百やおふみうづたかくのせて人丸ひとまろ御像みぞうなどもあやしき厨子ずしに入りてあり
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
そしてその御像みぞうを讃えるための百人あまりの衆僧が、朱色の法衣を纏った姿なりで讃美の歌を唄っている。その衆僧の真っ先には、紫の法衣を身につけた際立きわだって尊い一人の僧が香炉に香を投げている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
楠公の御像みぞう雄姿ゆうし
都の話 (新字旧仮名) / 渡久山水鳴(著)
「……が、まあまあ白鳳期はくほうきの御本尊、石川観音の御像みぞうが持ち出されて、き物にされなかっただけでも、目ッけものか」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御像みぞうの脚に捧げまつらん
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御像みぞうにすがって、中堂の座主から、もしや寿童さまに似た者が、山に登っているか、いないか、お調べねがいたいと思って、やって参ったのでございます
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、ごろうじませ、あのように、十八公麿さまが、小さいお手へ、数珠じゅずをかけて、御像みぞうを拝んでおいでなされます。誰も、教えもせぬに、何というしおらしい——」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ和子わこではございません。作られている三体の御像みぞうの非凡さ、容子ようすのつつましさ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)