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待乳
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まつち
ふりがな文庫
“
待乳
(
まつち
)” の例文
田町
(
たまち
)
から
馬道
(
うまみち
)
につづいた家も土蔵ももう一面の白い
刷毛
(
はけ
)
をなすられて、
待乳
(
まつち
)
の森はいつもよりもひときわ浮きあがって白かった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここからでは顔までしかと見えませんが、今向うの垣根越しにヒョイと見ると、どうでしょう! ありゃ
待乳
(
まつち
)
の多市ですぜ
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言問
(
こととひ
)
の渡しを待つ間に、渡船の出た向岸の竹屋のあたりから、
待乳
(
まつち
)
山にかかる夕陽の薄れに、淺草寺の五重の塔もながめ、富士もながめ、吉原の灯もおもつた人々は
河風
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
振返
(
ふりかへ
)
れば
聖天
(
しやうでん
)
の
森
(
もり
)
、
待乳
(
まつち
)
沈
(
しづ
)
んで
梢
(
こずゑ
)
乘込
(
のりこ
)
む
三谷堀
(
さんやぼり
)
は、
此處
(
こゝ
)
だ、
此處
(
こゝ
)
だ、と
今戸
(
いまど
)
の
渡
(
わたし
)
に
至
(
いた
)
る。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
待乳
(
まつち
)
の山の(たれをかも待乳の山の女郎花秋と契れる人ぞあるらし)と見ております」
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
……墨堤の桜……ボート競漕……川開きの花火……両国の
角力
(
すもう
)
や菊……
扨
(
さて
)
は又、
歌沢
(
うたざわ
)
の心意気や浮世絵に残る網舟……遊山船、
待乳
(
まつち
)
山の雪見船、吉原通いの
猪牙船
(
ちょきぶね
)
……群れ飛ぶ都鳥……。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
押し
揉
(
も
)
まれながら迷っていたのは、笠を首にかけた
待乳
(
まつち
)
の多市、片手で人を防いでいるが、片手は
懐中
(
ふところ
)
の前を離さない。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
団十郎の芝居にありそうな仲の町の華麗な桜も、ゆく春と共にあわただしく散ってしまって、
待乳
(
まつち
)
の森をほととぎすが啼いて通る
広重
(
ひろしげ
)
の絵のような涼しい夏が来た。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大川ばた全體が燒禿げた
待乳
(
まつち
)
山同然だと止めた。
大川ばた
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
幸か不幸か、
待乳
(
まつち
)
の多市は、お十夜の妖刀に二ヵ所の傷を負わされながら、川長の者に救われてここに療治をうけ、今なお気息
喘々
(
ぜんぜん
)
と
苦患
(
くげん
)
の枕に
昏睡
(
こんすい
)
している。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『江戸の庄のうちで、浅草というのでさ。あの丘が、汐見山とも、
待乳
(
まつち
)
山ともいう』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声もなく、川千鳥が白く渡った、
待乳
(
まつち
)
の山から
水神
(
すいじん
)
の森あたりへ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
待
常用漢字
小3
部首:⼻
9画
乳
常用漢字
小6
部首:⼄
8画
“待乳”で始まる語句
待乳山