弘法こうぼふ)” の例文
正岡子規先生ではないが、弘法こうぼふをうづめし山に風は吹けどとこしへに照すのりのともしび。ですよ
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ときに、一名いちめい弘法こうぼふ露呈あらはなことは、白膏はくこう群像ぐんざうとまではかないが、順禮じゆんれい道者だうじやむらむすめ嬰兒あかんぼいたちゝく……ざい女房にようばう入交いれまじりで、下積したづみ西洋畫せいやうぐわかは洗濯せんたくする風情ふぜいがある。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一番言込いひこめ閉口へいこうさせんと思ひ天下に於て御器量ごきりやう第一と云ふ御奉行樣にも弘法こうぼふも筆の過失あやまちさだめ惡口あくこうと思召すならんが罪なく死したる彦兵衞が身は如何遊ばさるゝやと口々に申故大岡殿皆々默止だまれおほせられしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ほんによ、だからおれは始めから、何でもこの人は一つぱしの大泥坊になると云つてゐたわな。ほんによ。今夜は弘法こうぼふにも筆の誤り、上手じやうずの手からも水が漏るす。漏つたが、これが漏ら無えで見ねえ。二階中の客は裸にされるぜ。」
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)