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引断
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ひっちぎ
振放す
機に
引断った煙草入、其の儘土手下へ転がり落ちた、こりゃ
堪らぬと草へ
掴まって
上って見たら、
何時の間にか曲者は跡を
晦ましてしまう。
宿墨を洗う気で、楊枝の房を、小指を
刎ねて
挘りはじめたが、何を
焦れたか、ぐいと
引断るように邪険である。
火事の最中、雑所先生、
袴の
股立を、高く取ったは
効々しいが、羽織も着ず……布子の片袖
引断れたなりで、
足袋跣足で、
据眼の
面藍のごとく、火と烟の走る大道を、
蹌踉と
歩行いていた。
引断れたやうに残つて、
袷はのけざまにずる/\と
畳の上を
引摺らるゝ、
腋あけのあたり、ちら/\と、
残ンの雪も消え、目も消えて、
裾の端が
飜へつたと思ふと、
倒に裏庭へ
引落された。