引換ひきかえ)” の例文
細字さいじをもってしたためたる警戒は、此方こなたより「小田原評定云々うんぬん。」と記しやりたる書信を引換ひきかえに、「じゃむこう」の首輪を経て小間使秀の手中に落ちたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
友「先生、金子百両たしかにお返し申しますから証文とお村を引換ひきかえにどうぞお返しなすって下さい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あいつのくび引換ひきかえにしたって、りられるかねじゃァねえぜ。冗談じょうだんやすやすみいってくんねえ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ごく都合のい者になれば大名に抱えられて、昨日までの書生が今日は何百こくさぶらいになったとうこともまれにはあった。れに引換ひきかえて大阪は丸で町人の世界で、何も武家と云うものはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
『一刻も捨てかれますまい。藩札の引換ひきかえを行います』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
助「髪も湯も入りません、今横浜に安い物が有るから、今晩のうちに往ってらなければならんから、直ぐにくから、どうか只今お預け申しましたかばんを証書とお引換ひきかえにお渡しを願います」