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引捕
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ひきとら
考へ所持の金子を盜み取んとするにより
引捕へて金子は取り返し以來心を改めよとてよく/\
異見を
差加へ候節宿屋の者共
馳來りて
渠が
片小鬢の毛を
拔取入墨を
引捕えて、
是れが罪人でございと
云えば、
如何に優しい
大目な政府でも
唯見ては居られない。
引捕へ大事の御預り者
何れへ行るゝやと
咎むるにお政は南無三と思ひ無言にて
袖振拂ひ
駈出すをコレ/\
未だ
燒ては
來ぬぞ
此騷ぎを幸ひに
逃やうとて
逃しはせじと又引止るを
取んとしたる
騙子なり其時
彼奴を
引捕へしに宿屋の者ども寄集り
片小鬢の毛を引拔て
入墨をなしたるなり因て某し彼奴を
戒しめ以後惡心出しなら其の入墨を
水鏡に
映し見て心を