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ひろしま
御米は
廣島と
福岡と
東京に
殘る
一つ
宛の
記憶の
底に、
動かしがたい
運命の
嚴かな
支配を
認めて、
其嚴かな
支配の
下に
立つ、
幾月日の
自分を
病氣が
本復してから
間もなく、
宗助は
又廣島を
去つて
福岡の
方へ
移らなければならない
身となつた。
京都に
居た
時分は
別として、
廣島でも
福岡でも、あまり
健康な
月日を
送つた
經驗のない
御米は、
此點に
掛けると、
東京へ
歸つてからも、
矢張り
仕合せとは
云へなかつた。