トップ
>
庖厨
>
ほうちゅう
ふりがな文庫
“
庖厨
(
ほうちゅう
)” の例文
唯
(
ただ
)
一人暇を取らずにいた女中が驚き
醒
(
さ
)
めて、
烟
(
けぶり
)
の
厨
(
くりや
)
を
罩
(
こ
)
むるを見、
引窓
(
ひきまど
)
を開きつつ人を呼んだ。浴室は
庖厨
(
ほうちゅう
)
の外に接していたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
に遠ざかる、と聖人が言いましたが、金椎のこの頃は、庖厨の中で聖書を読むの機会が多くなりました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
葉子は自分で貞世の食事を作ってやるために宿直室のそばにある小さな
庖厨
(
ほうちゅう
)
に行って、洋食店から届けて来たソップを
温
(
あたた
)
めて塩で味をつけている間も
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
新年も松の内位までは、めでたく平穏な日が続く上に、いろいろ暮にととのえた物があって、
庖厨
(
ほうちゅう
)
に事を欠かぬ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
故に君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
を遠ざくで、下女が何を触れた手で
調
(
ととの
)
えたか知らぬ物を旨がるところが知らぬが仏じゃ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
故
(
かるがゆえ
)
に君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
を遠ざく……こりゃ分るまいが、
大尽
(
だいじん
)
は茶屋の
構
(
かまえ
)
の
大
(
おおき
)
からんことを望むのだとね。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
港に六千
噸
(
トン
)
の貨物船がはいつた。耳寄りなニュースに、港の隆盛を町の人々が噂した。私は裏町に、油くさい
庖厨
(
ほうちゅう
)
の香を嗅いだ、また裏町に、開け放された格子窓から、脂粉の匂に噎んでゐた。
ふるさとに寄する讃歌:――夢の総量は空気であつた――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
に近づかず——」という言葉があります。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金帛
(
きんはく
)
を以て謝することの出来ぬものも、米穀
菜蔬
(
さいそ
)
を
輸
(
おく
)
って
庖厨
(
ほうちゅう
)
を
賑
(
にぎわ
)
した。後には遠方から
轎
(
かご
)
を以て迎えられることもある。馬を以て
請
(
しょう
)
ぜられることもある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
金椎は
庖厨
(
ほうちゅう
)
を
司
(
つかさど
)
っているが、それはいてもいなくても、物の音からは超越している。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こうして一方が
不貞腐
(
ふてくさ
)
れの
体
(
てい
)
で寝そべっているのに、一方が
庖厨
(
ほうちゅう
)
にいて神妙に勝手方をつとめているところを見れば——位取りの差はおのずから明らかであって、つまり、女が天下で
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“庖厨”の意味
《名詞》
庖厨(ほうちゅう)
台所。くりや。
(出典:Wiktionary)
庖
漢検準1級
部首:⼴
8画
厨
漢検準1級
部首:⼚
12画
“庖厨”で始まる語句
庖厨口
庖厨部