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差向
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さしむかい
ふりがな文庫
“
差向
(
さしむかい
)” の例文
御米は小六と
差向
(
さしむかい
)
に膳に着くときのこの気ぶっせいな心持が、いつになったら消えるだろうと、心の
中
(
うち
)
で
私
(
ひそか
)
に疑ぐった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新吉と
差向
(
さしむかい
)
で晩飯を
喰
(
た
)
べ、日がかげると
俄
(
にわ
)
かに涼しくなる頃の縁側で、虫の声の外には何の物音もしない広い庭から、崖の下の町に灯のともる景色を見ていると
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
それじゃア何か
差向
(
さしむかい
)
で
居
(
い
)
る処へ
私
(
わし
)
が上って来たから、山平殿と不義
濫行
(
いたずら
)
でもして居ると心得て、私が立腹して
此
(
こ
)
れへ上って来た故、差向で居た上からは
申訳
(
もうしわけ
)
は
迚
(
とて
)
も立たぬ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三谷
(
さんや
)
さんなればと返事待つまでもなくお
万
(
まん
)
に口を掛け、
暫
(
しばら
)
くは
差向
(
さしむかい
)
にて、聞けば
塞
(
ふさ
)
ぐも無理ならず、昨夕は御存じの親方呼びに
遣
(
や
)
りしに、詰らぬ行掛りの末
縺
(
もつ
)
れて、
何
(
なに
)
、
人
(
ひと
)
を
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と二人で
差向
(
さしむかい
)
で話をしておりまする内に、お喜代、お美津でありましょう、二人して夜具をいそいそと持運び、小宮山のと並べて、
臥床
(
ふしど
)
を設けたのでありますが、客の前と気を着けましたか
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
松が来て私はうんざりして了ったが、雪江さんは
反
(
かえ
)
って
差向
(
さしむかい
)
の時よりはずみ出して、果は松の方へ膝を向けて了って、松ばかりを相手に話をする。私は居るか居ないか分らんようになって了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そんな事があるものか。舞台で見るからいいのさ。
差向
(
さしむかい
)
になったらおはなしにならない。ダンサアやモデルなんていうものは、裸体になるだけが商売なんだから、
洒落
(
しゃれ
)
一つわかりゃアしない。僕はもう君さん以外の女は誰もいやだ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その留守は
差向
(
さしむかい
)
さ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
茶の間を済ましているうちに
午
(
ひる
)
になったので、二人は食事を始めた。小六が引き移ってからこの
四五日
(
しごんち
)
、御米は
宗助
(
そうすけ
)
のいない
午飯
(
ひるはん
)
を、いつも小六と
差向
(
さしむかい
)
で食べる事になった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
婆
(
ばあ
)
さんは使賃という事を聞いて悦んで、烟草を買いに出て参りました。
後
(
あと
)
は両人
差向
(
さしむかい
)
で
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と庭下駄を
穿
(
は
)
いて飛石伝いに庭の
離座敷
(
はなれ
)
へ行って
差向
(
さしむかい
)
になりました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“差向”で始まる語句
差向い
差向ひ