川尻かわじり)” の例文
よど川尻かわじりで舟に乗った生絹は、右に生駒いこまの山、男山おとこやまを見、左に天王山てんのうざんをのぞんだ。男山のふもと、橋本のあたりで舟は桂川かつらがわに入って行った。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
加賀本国の敵の救援を断つため、神保氏張に全軍の約四分ノ一にあたる兵をいて、末森城の南——大海川を境とする茄子山なすざん川尻かわじりの辺におもむかせた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川尻かわじりが近づいたと聞いた時に船中の人ははじめてほっとした。例の船子かこは「唐泊からどまりより川尻押すほどは」とうたっていた。荒々しい彼らの声も身にんだ。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「アノ、わたくしは、葛飾かつしかの三方子ぽうし川尻かわじりの六兵衛と申す漁師の娘で、お露という者でございますが——」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
国老たちの協議の末、藩中の精鋭四千を川尻かわじりに出して封境ほうきょう防備の任に当らしめることになった。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それほどこの新開地に内外人の借地の請求が頻繁ひんぱんとなって来た意味を通わせた。大岡川おおおかがわ川尻かわじりから増徳院わきへかけて、長さ五百八十間ばかりの堀川ほりかわ開鑿かいさくも始まったことを語った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
江口えぐち川尻かわじりの船の家に老い、さては野上のがみ坂本さかもと路次ろじおおがさを立てて、朗かなる歌の声を東西の旅人に送っていた者は、最初からそういう生活様式を持って、日本へ入って来た人々のすえでもあるように
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは古い沼で、川尻かわじりからつづいてあおくどんよりとしていた上に、あしやよしがところどころに暗いまでにしげっていました。
寂しき魚 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
……何よりの証拠には、まず敵は、七尾とこことの中間、敷浪しきなみにも兵をやり、津幡とこことの間の川尻かわじりにも、逸早いちはやく、兵をくばっている。なんのためか、存じておるか
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三方子川尻かわじりの、漁師六兵衛の住居すまい以来だったナア」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)