屋上やね)” の例文
雪下ゆきふるさかんなるときは、つもる雪家をうづめて雪と屋上やねひとしたひらになり、あかりのとるべき処なく、ひる暗夜あんやのごとく燈火ともしびてらして家の内は夜昼よるひるをわかたず。
(歐洲人は思郷病は山國の民多くこれをわづらふとなせり。)されど又ヱネチアのわが故郷ならぬを奈何いかにせむ。われは悵然ちやうぜんとして此寺の屋上やねより降りぬ。
屋上やねの雪は冬のうちしば/\掘のくる度々に、木鋤こすきにてはからず屋上やねそんずる㕝あり。我国の屋上やねおほかたは板葺いたぶきなり、屋根板は他国にくらぶればあつひろし。
ミラノに來てより一月の後、我は始て此寺の屋上やねに登りぬ。日は石面を射て白光身をめぐり、ここの塔かしこのがんを見めぐらせば、宛然さながら立ちて一の大逵ひろばに在るごとし。
屋上やねの雪は冬のうちしば/\掘のくる度々に、木鋤こすきにてはからず屋上やねそんずる㕝あり。我国の屋上やねおほかたは板葺いたぶきなり、屋根板は他国にくらぶればあつひろし。
水を呑吐する大小のいはや許多あまたありて、中には波の返す毎に僅かに其天井をあらはすあり。こは彼妙音の女怪のすみかにして、草木繁茂せるカプリの島は唯だこれをおほへる屋上やねたるに過ぎざるにやあらん。
歳越としこしの日などはいづれの家にてもことさらに雪をほりまどのあかりをとり、ほりたる雪も年越としこしの事しげきにまぎれて取除とりのけをはらず、掘揚ほりあげ屋上やねにひとしき雪道歩行あゆむにたよりあしき所もあり。